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2007年8月 1日 (水)

論文のインパクト

論文にはインパクトファクター(IF)というものがあって、それは引用される回数を反映するもので、科学に対するインパクトを示すものですが、ときに論文というのはそれを書いた著者の人生にインパクトを与えます。

「Dr.Asaのニッポンのバイオ研究者海外ラボをゆく」という本には、サイエンスに掲載された論文が人生を変えたと書いていますが、一本の論文で救われたり、出せなかった為に不利な立場になったりするのが研究者としての緊張感が生まれるところです。

私も論文が出るまでは、大学院の学年が進むに連れて、『論文が出ていない院生なんて、人間以下!』と思われているような気がして(なにより自分自身がそう思えて)なりませんでした。久しぶりに浪人生のころに戻ったような気分でした。このまま論文なんか出ずに気が狂って自殺などしてしまうのではないか・・・事故死か何かにあえば、「彼は頑張っていた。」と許してもらえるだろうか。とりあえず、データだけは優秀な後輩に置いておこうか・・・研究グループに業績がないのも自分のせいだし、自分が教授だったらこんな院生やめさせたりしないだろうか・・・それなら、いっそのこと、やめようか・・・。など、本気で考えたものです。迷いが無くなってきたのは、あこがれを捨てきれずに提出した雑誌から、厳しいコメントとともに褒め言葉をいただいてからです。こんな厳しいコメントに答えるのは無理!と思いながらも、指導医のM先生や先輩のI先生の支えもあって、再提出できそうという段階に入ったときは、あと1年かかってもこの雑誌に載せてもらえるように頑張るぞ!!!と思うようになり、その気合いが伝わったのか、すんなり掲載となったのでした。

一本の論文(実際は同時にもう一つ掲載が決まり2本)が、精神的などん底から、私を引き上げてくれました。この分野で日本の小児科からこのレベルの雑誌に掲載されるのは初めてであることに気づき、嬉しさとともに気を引き締めないとと思いましたが、留学のためにコンタクトをとった二つのラボから良い返事をもらい、他の2名の尊敬する研究者からもお誘いを受け、その分野の権威のDr. Sからも、「この分野にどんどん入って来なさい」と自分が主催する研究会への演題登録を依頼され、畏れ多いと思っていたある教授からも「ここで、一緒にやらないか」と言っていただき、あげくの果てには、教室が始まって以来の論文100選への選出という具合に予想をはるかに超える影響がありました。私にとって、人生を変えた論文のひとつになることは間違いないです。




Dr.Asaのニッポンのバイオ研究者海外ラボをゆく―アメリカで研究していこう!ラボを持とう!


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著者:浅原 孝之

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