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2009年10月21日 (水)

読書感想文:「道ありき」

三浦綾子文学のファンでありながら、著者の自伝小説であるこの本を読んだことはありませんでした。

最近、ひょんなことから高校生のときに読んだ「光あるうちに」を再購入して読みました。
再び感動しながらも、三浦綾子さんの歩みを知ってみたいと思い、実家から送ってもらいました。
折しもこの10月12日は三浦綾子さんの没後10周年だそうです。百万人の福音という雑誌の特集号も一緒に送って下さいました。

この小説は、三浦綾子さんが敗戦の失望から自暴自棄になり、生きる意味を失い、二重婚約、自殺未遂、そして肺結核、脊椎カリエスと戦う中で前川正氏と出会い、キリストを信じるようになるという心の葛藤を赤裸々に描いています。苦しみや悲しみが大半を占める小説なのに決して心を暗くさせられることはなく、雨上がりの朝のきらめきのような読後感が残る小説です。

単なる自伝でもなく、普通の小説でもない「自伝小説」という形をとった書物であるゆえでしょうか?

読み進めるに従って、主人公である著者の人生に寄り添って歩んでいる自分に気がつきました。それは、主人公自身を少し離れたところから振り返る著者の視点がそうさせたのかもしれません。または、そのような著者の記述の背後に主人公を愛し、導いた神の見えざる手が見え隠れしたからなのかもしれません。前川正氏の生き方、愛し方は、「私もそのように生きたい」と思うことさえ恐れ多く、神妙に自分の醜い心と正直に向き合う機会となりました。著者の精神的苦難、身体的苦難とそれを周りから支えた人々の思い、著者と前川正氏の心の交流が直接、私の心に語りかけて来ました。

「生きることは苦しく、謎に満ちています」という前川氏の遺書の言葉どおり、人生にはどのような光も届かないと思われる暗闇や、なにものも力づけることができないような絶望感、そして一歩先には何が起きるかわからないという得体の知れない不安があります。著者はそのような中で、暗闇に光を照らし、絶望を希望に変え、将来に安心を与える神と出会ったのです。

この小説がもたらす感動はただ単に感情を動かされる感動でありません。心を揺さぶられ、その心の周りに絡み付いているいろいろなものを振り落とし、自分の心のありのままの姿と対峙させれるような感動です。そのような深い感動を味わい、自分の人生を自分の心をとらえ直すことで見つめ直したい方におすすめの一冊です。

道ありき―青春編 (新潮文庫)道ありき―青春編 (新潮文庫)


著者:三浦 綾子

販売元:新潮社
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