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2010年4月22日 (木)

スポンサーから笑いをとる?(小児科医になった理由)

今夜は、わたしのフェローシップをサポートしてくれているmorris夫妻(仮名)に他の医師や研究者とともにディナーに招かれました。morris氏は、世界規模のIT関連企業の元CEOで全米200位くらいの富豪。寄付総額は20位以内というすごい人です。大学院を出たスタンフォード大学への寄付をはじめ、いろいろな社会事業に寄付をしています。
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今回のディナーは、少しインフォーマルな感じで、この夫妻が自分たちがサポートしている研究者を招いて話がしたいということでした。

ディナーのあと、ご夫人が
「今日は専門的な話は抜きにして、こんな感じでスピーチしてもらいましょう。
①どこで生まれたか?
②どこで育ったか?
③どのように今の研究をするに至ったか?
④これからどうしたいか?

こんな感じでご自分のことを話してください。」

そして、ひとりひとりの名前と簡単なプロフィールを紹介して、順番にスピーチしていきました。
私のスピーチは以下のとおり。

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私が生まれたのは日本の大阪にある地域病院です。実はそこで小児科医として働くことになったんです。はじめてそこに行った時に、かなり年上の看護師さんが、「ちょうどあなたが生まれたころに産科病棟にいたわよ。あなたにミルクをあげたかもよ。」と言われてちょっと恥ずかしかったです。ちなみにその病院では私の長女も生まれています。

I was born in Osaka, Japan at a local hospital, where I ended up working during my pediatric residency. When I first join this hospital, one pretty old nurse came up to me and said, "you know, I was working in the Ob/Gyn ward about the time you were born. I might have feed you milk". I was totally embarrassed.

ま、それはいいとして、私は大阪で育ちました。ただし高校生のときに一年間はピッツバーグにいました。父が外科医で肝臓移植の勉強をしにいくためです。そこで自分はアルバイトをしたかったのですが、ビザの関係でできなかったので盲学校でボランティアをしました。それで、ボランティアっていいなと思い、日本に帰ってからもすることにしたんです。夏休みに脳性麻痺や精神遅滞の子どもたちがいる施設にボランティアに行って、「ああ、社会にはたくさんの問題があるんだなあ。でも、これらの問題全てを解決することなんて自分にはできないなあ・・・でも、ひとつくらいは出来るんじゃないか。人生をかければひとつくらいは。」と思ったのです。それからある医師が書いた本をきっかけに医者になろうと決めました。

Anyway, I grew up in Osaka except for one year I lived in Pittsburgh. My father is a surgeon and he wanted to study liver transplant and that's why we went there. When I was there, i wanted to have a part time job but my visa didn't allow me to do it. So I volunteered in a school for blind children and I became interested in volunteering. After I came back to Japan, I volunteered in a facility in which children with cerebral palsy or mental retardation stay. And I realized, "man, there are lots of problem in this society. I want to do something-even though I may not be able to solve every one of them. I can solve at least one problem if I spend my life to it." then I read a book written by a doctor and decided to go to med school.

医者になるのを決めたのはいいのですが、どんな医者になるかも問題でした。
私にわかっていたのは、『人に仕えたい』ということです。それで、どんな人に仕えたいのかを考えて臨床実習にのぞみました。医学生として病院でいるときに「いったいこの病院でもっともエラいのは誰だろう?」と思いました。そんなことを考えているときに小児科の臨床実習で教授が赤ちゃんの診察をしているときにその赤ちゃんがピュ〜っとおしっこをしたんです。教授のネクタイはおしっこで濡れたのでお母さんがすごく慌てて「ああ、教授先生、すみません。すみません。」とオロオロしていました。でもその教授はネクタイを外して「いやいや。俺が悪いんや。赤ちゃんを診察するのにこんなもんしてるからや。」と言ったのです。”かっこいい!この教授みたいになりたい。こういう人こそスゴい!”と思ったのですが”ちょっと待てよ。エラいのは、教授におしっこをかけて謝りもせずに寝ているこの赤ちゃんや。この子は謝りもしないし、ありがとうも言わない。エラそうにしてる。このようにエラい赤ちゃんに仕える医者になろう!”と考え直して小児科医になることにしたんです。そもそも人に仕えるのは身を低くすべきなのに医者になると高慢になってしまいます。でも「ありがとう」も言ってくれない赤ちゃんや子どもたちの前では膝をかがめて仕えることができます。

After I entered the med school, the next thing I have to think about was what kind of doctor I want to be. I knew I wanted to serve people as a doctor. I just wanted to know what kind of people I want to serve. As a medical student I looked around the university hospital and wondered who is the greatest in there. When I was in pediatric clinic as a student, the professor was checking a baby. And it happened that the baby took a pee and the pee was on his tie. Mother said "Oh, I am so sorry, professor. Oh no, I'm sorry!" She was definitely in trouble. However, the professor took off the tie and said, "no, that's my fault. i shouldn't have worn a tie in front of babies." You know, he's a great man, I thought I wanted to become like him. but the next moment I said to myself, "wait! maybe this baby is much greater than this professor. he takes pee on the professor's tie and just lying down. He doesn't say "I'm sorry" nor even "thank you". I was afraid that I would be a proud person after I become a medical doctor. But if you serve little children, you can't become proud in front of those who never say "thank you" but just say "go away!".

それで、私が今のような研究をするようになったきっかけは、新生児集中治療室で働いていたときに多くの赤ちゃんが難産の末に、脳に後遺症を残したりするケースを見たので、新生児の脳傷害について研究したいと思ったからです。わたしは、「なにかひとつ問題を解決できれば」と思っていましたが、奇しくも科学という手段を通してそれを成し遂げようとしているのだと今、あらためて思いました。

So, I came up with this research I am doing because I saw many baby who had to go thru difficult labor and eventually had neurological impairment after that. That's why I started doing research on neonatal brain injury. You know, I said I wanted to solve one problem and I just found myself trying to do it in scientific way.
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ここまでがその場で考えついて行ったスピーチでしたが、M氏から「なぜスタンフォードに来たの?」と訊かれました。

それは、私がアメリカで学会をしていたときに今のボスと出会ったからです。同じ研究分野の人だったのでよく知っていたのですが、彼女は私がトイレに行ってる時に私のポスターを見に来てくれていました。遠くから彼女を発見して「あーDr. A!光栄です。いつも論文を読んでいます!」と駆け寄りました。たぶん、彼女は私のそのような言葉を気に入ったのでしょう、それで一緒に働くことになりました。・・・いや、たぶん、プレゼンも気に入ったのだと思いますよ。

I met my boss at the conference in the US. She visited my poster while I was in bathroom. I saw her standing at my poster and ran up to her and "Dr. A! Hey, I know you. I always read your paper!!" I think she liked the way I said it and I joined her lab. .....Well, I think she liked my poster as well, though.

パーティは夜の10時まで、M氏のこれまでの歩みや55年間の結婚生活の秘訣とかいろいろ話をしてなごやかで楽しいパーティでした。

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コメント

コウスケさん

あたたかいメッセージをいただき有り難うございます。ポジティブに考える為にはいいのではないかと思います。「ひとつくらいしか・・・」ではなく「ひとつくらいなら!」と思って歩んでいければいいですよね。

投稿: hide-tan | 2010年4月27日 (火) 04時57分

はじめまして理系大学農学部4年生のコウスケと申します。 
去年からhde-tanさんのブログを拝見させて頂いてます。研究職に就かれた理由を読んで感動しました。「自分の人生全てを掛けたらひとつは問題を解決できるのではないか?」という考えがとても素敵だと思いました。
今将来について悩んでいるのですが、この記事を読んで人生を通した目的を持った立派に人間になりたいと強く思いました。 

お子さんかわいいですね。私も将来幸せにな家庭を持てるように頑張ります。

これからもブログ拝見させていただきたいと思っています。よろしくお願いします。

投稿: コウスケ | 2010年4月27日 (火) 03時00分

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